贈り物 を

 お昼ゴハンを食べにビルから外へ出ると小雨がぱらついていた。
 大した降り方じゃなかったので、普段なら何も気にせず道に出るところだけれど、今日は逡巡した。
 左手には読みかけの本(恋愛密室)、右手には紙袋(贈り物)。どちらも濡れて欲しくない。
 だからといって、出ないわけにはいかないので、濡れにくいように両手のものを抱え、雨の中を小走りに目当ての店へと急いだ。


 贈り物は遠方に住む想い人へ送る為に食後に郵ぱっくになってもらう。
 買ったお店の袋が2重になったいるのがポイント。一流ブランドってわけじゃないけれど、紙袋も気になるものだから買ったときはいつも本来の袋ともう一回り大きい袋を貰う。送り状をペタンと貼り付けてしまう外袋も出来たらそのお店のものにしたいと思うようになったのはいつからか。面白かったりかわいかったりの袋が手に入ったときはそちらを使う事もあるけどね。


 何度経験しても、いくつになっても困ったり迷ったりするのが、贈り物を選ぶ時。
 ある程度はジャンルを絞って店を覗いて歩くけれど、考えるのは――


 趣味に合わなかったらどうしよう。
 似たようなもの持っていたらどうしよう。
 期待外れな思いさせたらどうしよう。


 そんな事ばかり。
 少しばかり変わった趣向なものや、面白いデザインのものも探すけれど、僕が元々オーソドックス/スタンダードなデザインを好むところがあり、そういうものを探すのに適した店も今のところ覚えが碌に無い。
 昨日、仕事帰りにそこに寄ろうと決めていたところでも何点のものを見たかわからない。結局、年末を越えて非常に軽くなっている財布にもう少し無理をして貰ってちょっとだけ裏言葉を隠したアイテムを購入。
 少し捻りの入ったハートが二つ引っ付き、一点だけ石の入ったER.
 はてさて、反応が楽しみだ。